富山県西部の精神風土「土徳」に学び「これからの美しい暮らし」をつくっていく活動共同体
ART of FOLKS。
活動全体のステイトメントを作成しました。
ART of FOLKS
豊かな水が巡る土地、富山県西部・砺波地方。
山裾から海までひとつづきの平野に、水田のなか家屋が点在する美しい農村景観「散居村」が広がり、他力信仰を背景とする相互扶助のもと、自然と人がつくりあう循環型の暮らしが営まれてきました。
昭和20年代には民藝運動の創始者・柳宗悦や版画家の棟方志功が滞在。自然への感謝が培った土地の精神風土を「土徳」と呼びました。
彼らは土徳のあらわれた人々の暮らしに民藝の本質を見出し、この土地に何度も通いました。そして彼らもまた土徳に影響を受け、思想や作風を深化・発展させていきました。
「民藝」が今なお輝きを失わず世界中で人々の関心を集めているのと同様に、「土徳」のある暮らしは、循環型経済-circular economy、社会共通資本-commons、民主主義と相互扶助-anachismなど、きわめて現代的なトピックと深く関係しています。自然と人がつくりあう美しい暮らしには、触れることで自分の軸をみつけていけるヒントがたくさんあります。
一方で、土徳もそれがあらわれた暮らしも風景も、現代社会の急激な変化のなかで消滅の危機に曝されています。何もしなければすべて失われてしまうかもしれません。そこで私たちは観光地域づくり法人、アートホテル、泊まれる民藝館など、組織をつくり、拠点を展開し、この土地の価値あるものを伝えるさまざまな活動を行ってきました。
そして今あらためて、価値観をともにする仲間をつのりたいと思います。
ART of FOLKSとは、この土地の風景、生業、工芸、建築、食、信仰…さまざまな形であらわれる「土徳」に学びながら、「これからの美しい暮らし」をつくっていく活動と共同体の総称です。
これまでの活動に加えて、Podcast番組の配信、educational tourism、お寺での対話型講座、実践的ラボなどを展開。
学びを通じて生きるための軸をつくり、土徳を再生しつづける、学びと再生が循環するコミュニティをつくっていきます。
美しいと感じるとき、私たちは対象の背景に人為を超えた大きな存在を感じています。美しさとは、私たちが生きるために失くしてはならない感謝や慈しみ、自然との健やかな関係を教えてくれる心のはたらきです。
美しい暮らし、美しい仕事、美しい共同体、美しい政治、美しい経済。
器物や織物だけでなく、人が生きるために必要なものはすべてArt of Folksになり得ます。それがどんなものであるか、定まった正解はありません。これから一緒に探求していきましょう。
かつてのFolksは同じ土地に暮らす人々でしたが、現代のFolksは何にも隔てられない、価値観をともにする仲間です。海も山も国境も越えて、どこからでも、どんなかたちでも。あなたが参加することで生まれるART of FOLKSを、ともにつくりつづけていきましょう。
noteではFolks(仲間たち)の寄稿文や、柳宗悦や棟方志功らと交流した人々と土地の記憶をめぐるインタビューを掲載。テキストによるART of FOLKSをつむいでいきます。
- Writing 籔谷智恵
Design 清水彩香 - Client 水と匠 circular commons