具体の仕事と働く子ども

  オアハカに到着したのは元旦の朝七時だった。オアハカの朝はメキシコシティやグアナファトの朝とは違っていて、ゆるやかな、ようよう白くなりゆくという時間の尺を感じることができた。オアハカには海もあり、標高は低い。夜行バスで寝ているうちに、メキシコ中央高原からずいぶんと下ってきたのだ。 とぼと…

2017年03月11日

土地の神様

  アステカの人々にとって、神話を相対化する視点はなかった。完全に宗教的に生きていたから、スペインの侵略者達と対峙したときも、それが誰なのか、アステカの人は神話の中で彼らの存在を理解したらしい。そして彼らを、神様の化身、もしくはその使いと思ったのだという(神話の中の言い伝えとの符号は、ある…

2017年03月10日

生贄の宗教

  お昼前についた国立民族博物館は、大晦日でも通常営業していて、ミュージアムショップが早く閉まった以外は不自由なく見て回ることができた。ここは建物がとても面白い。建物は大きな中庭を囲む配置になっていて、中庭には1本の柱で支えられた石盤が覆い被さっている。これがちょっとした超能力で浮いている…

2017年03月09日

朝の違い 色と時間

  大晦日の朝。夜にオアハカへ向かう夜行バスに乗るので、一度メキシコシティへ戻る。夜明け前にグアナファトの宿を出た。日が昇らないと、ヒートテックにダウンジャケットでも寒い。 高速バスに乗り込んだのは7時頃。まだ空は全体には暗くて、やっと際が薄く赤くなったくらいだった。車窓は大きくて広々とし…

2017年03月08日

谷の街とミイラ

  メキシコに来て六日目。メキシコシティを離れて、レオン州のグアナファトへ高速バスで向かう。メキシコは長距離移動といえばほとんどがバスなので、バスの設備がとても充実している。グアナファトまでは約6時間、東京から京都くらいの距離だ。バスは特等、一等、二等とあって、旅行者には目的地まで停まらな…

2017年03月07日

タクシー運転手が迷った日

  旅先での移動には、道を間違えたり事件に巻き込まれたりせず辿り着けるかどうか、という緊張がつきまとう。時間のリミットがあればなおさらだ。この日は午後に、バラガン建築の中で一番交通の便が悪いサンクリストバルの厩の見学を予約していた。ここだけはメキシコシティではない、隣のメキシコ州にある。地…

2017年03月06日

バラガン建築 問いの家

  地下鉄の駅に向かう途中にヒラルディ邸があったので、いちかばちか訪ねてみた。ここだけどうしても電話が通じなくて、予約できていなかったのだ。少し待つと中から住人のマダムが出て来て、見学できることになった。同じく飛び入りの、中国人カップルが合流した。 マダムはほぼ英語を喋らない。だから無言で…

2017年03月05日

バラガン建築 思索の家

  メキシコの街には、そこにずっと流れている音のような匂いがある。大きくなったり小さくなったりしながら、屋台から、店頭から、匂ってくる。一つはトルティーヤの、鼻の奥にたまる粉っぽいトウモロコシの匂い。もう一つは、鼻先にツンとする甘ったるい洗剤の匂い。嫌な匂いではないけれど、化学的で身体に悪…

2017年03月04日

バラガン建築 人生の家

  メキシコの建物に特徴的なピンクは、いわゆる女の子らしさをイメージさせるピンクじゃない、国を代表する花のブーゲンビレアからくるピンクで、クリーミィさがなくて、青みがかって澄んでいて、強い。和の色名で浮かぶ、桃色や桜色とは全然違う。どうでも良いのだけれど、メキシコのピンクを見ていたら、叶恭…

2017年03月03日

テオティワカン生贄の洗礼

  初日はテオティワカン遺跡へ行くことになっていた。目が覚めてカーテンをあけると、曇っている。晴れるといい、といちおう荷物にサングラスをいれた。ホテルを出ると、目の前の公園で市場が準備されていた。外に出ると空はすっかり晴れていた。屋台の骨組みやテントの色がピンクで、ブーゲンビレアが咲いてい…

2017年03月02日