サーミの血

  わたしたちは自分で選びたい。結果同じ暮らしをするのだとしても、強制されるのではなく、それを自分で選んだ、ということが重要だ。今の感覚からすればとても魅力的にみえるサーミの衣装でも、それしか着てはいけない、それを着る暮らしの外へ出てはいけないとなれば、それはまとわりつく檻になる。 スウェ…

2018年02月06日

髪を切る。選べないこと

  髪を切る、ということが、思いのほか自由ではないのはどれくらい一般的な認識なんだろう。 もちろん現代において切りたい時に髪は切れるけれど、どんな髪型にもできるわけではないというか、思い通りにいくわけではないというか。私はつむじが襟足のほうにひとつあるので、そのせいで襟足の髪が浮きやすく、…

2018年02月05日

見えないものと生きている2 タイムトラベル環境破壊

  タイムマシンのパラドクス、というのがある。タイムマシンで過去にいって自分が生まれる前に自分の親を殺したら自分は生まれないことになって、そうすると親を殺せる人もいなくなるのだから自分は生まれることになって、そしてまた親は殺される、それが堂々巡りになる、そういうことになってしまうから時間旅…

2018年02月01日

見えないものと生きている1 発酵のこと

  秋に、ワインをつくっている知人の手伝いでワイン用葡萄の収穫をした。それでワインの作り方を聞いたら、とても簡単で驚いた。 収穫した葡萄を洗わず、つぶして、放っておく。これだけ。洗わないのがポイントで、皮についている酵母菌が葡萄の糖をつかって発酵することで、アルコールが生成して、ワインにな…

2018年01月30日

降りていく系と発散する系

  雪で外を歩きにくくなったので、家で簡単なヨガをやったりマタニティビクスをやったりする。やっていると、この一つの身体に対して、鍛えるべき、動かすべき、柔らかくしておくべき部位というのはそんなに変わらないんだなと思うけど、アプローチは全然違う。いや、動きとして似ているものはわりとあるから、…

2018年01月17日

鰤のアラが重い

  去年は大根がたくさんとれたので、ブリ大根を何度も作った。切り身で脂ののったものになかなか当たらなかったので、アラを買ってみた。アラには、食べようと思えば食べられるのだろうけど、しかしこれ食べるんだろうか、と逡巡させる部位がけっこうあって、目の周りのぶよぶよしたゼラチン質ぽいものとか、内…

2018年01月16日

葛の糸づくり-2 川で糸をとる

  ムロを開けると、納豆から色気をぬいてぼんやりさせた、なまあたたかい匂いがもわっとたちこめて、白いフワフワしたものがびっしりとりついた、全体としては茶色く変色した葛のまわりを、無数の小さい虫が飛び跳ねている。 ただ悪くなっているだけでは…というのは匂いもそうだし、納豆菌による発酵だから納…

2018年01月13日

食費と農業革命

  食事はほとんど自炊で、夏からの数ヶ月は畑の自作野菜で野菜はほぼまかなえて、贅沢しているつもりもなく、冷蔵庫が小さいから気づかないうちに悪くしていて廃棄することもないし、無駄なくやっているつもりなのに、食費が安くならないなあ、とは思っていた。それがこの前、二人暮らしにしては高い、とはっき…

2018年01月11日

葛の糸づくり-1 採集からムロまで

札幌で葛(くず)布を制作している作家・渡邊志乃さんに、葛の採集からの糸づくりを習った。一日目は葛の採集、ムロづくりのためのススキの採集、茹で、ムロづくりまで。 葛はもともとは北海道には自生していなかったが、根がよく張るので土砂崩れ防止のために持ってこられたのか、物流にまざって入ってきたのか分からない…

2017年07月03日