きせつのさがしもの|薄氷本舗 五郎丸屋

 

五郎丸屋 新作和菓子

『きせつのさがしもの』

硝子造形作家 山本真衣 × 薄氷本舗 五郎丸屋

 

詩と文章

桐箱におさめられた和菓子に、詩が添えられています。

季節の移ろいのなかにある日々の実感や、一瞬のなかに永遠をみる東洋的な時間感覚を、
琥珀糖がたどる変化に重ねて表現しました。

桐箱に入った琥珀糖は、帯留めにも似ていて、着物の世界観にも通じるものを感じます。

 

きせつのさがしもの

朝の風の匂いに
季節の移ろいを知った

硝子と、固めた砂糖水を
つらぬく理に気づいたのは

ギムレットの数寄を
丁寧に噛み砕いていたとき

どんなに良い時ときも
流れてしまう

よろこびもかなしみも
わたしもいつか溶けて、
小さな粒へかえりときまで

さがしている、
とらえようにない巡り
つかむと離れていくものを

よく見て、よく聞き、
うつした一粒の
それ以上はない
存在の価値の不思議