熊本/水俣|水俣エコパーク

 

熊本駅からJRで南下して、八代駅で肥薩おれんじ鉄道に乗り換えると、とたんに平地が狭まり田んぼがなくなり、植生も鬱蒼とした南国らしいものになっていく。車窓からの景色では、豪勢で華やかな花が手向けられている、黒々としたお墓が印象的だった。夜は日奈久温泉に泊まる。広い旅館に泊まっているのは私ひとりで、お風呂がコンクリートのプールみたいな独特な浴槽で、全く違う文化圏に来た印象。

早朝、南下して水俣へ。いよいよ平地がなくなり、電車は海沿いを走っていく。携えてきた石牟礼道子の『苦海浄土』を手元に置きつつ、ずっと外を見ていた。白い股引とタンクトップのおじいさんが3人、堤防に寄りかかって、こちらを見ていた。

水俣駅で降りると、すぐにチッソ株式会社の工場がある。有機水銀の排出口付近の海は埋め立てられ、「水俣エコパーク」という広大な公共のグラウンドになっていた。帰ってきてから、もういちど『苦海浄土』を読み直して、桑原史成の写真集を買った。週末には富山のイタイイタイ病資料館に行こうと思う。