かわいいー!がわからない

 

9月16日(月)

祝日。久しぶりに夫のいる休みの日、金沢の谷口吉郎記念館にいきたかったけれど天気が悪かったので(夫は天気の良い日に写真を撮りたいらしい)、小矢部のアウトレットに行った。

夫が財布を忘れて、わたししか財布を持っていなかったのだが、子どもは店内でおとなしくはなかなかしていられないので、夫が服をみている間わたしと娘は通路にいて、娘はカートを押したがったり、ソファに乗りたがったりして、このソファに乗りたがるというのが、制御するのがとても大変で、靴であがっちゃだめだと靴を脱がせたその足ですぐに地面に降りてしまうので、せっかく靴を脱がせたその足が汚れる、それでソファにのぼったらもう汚れちゃう、もう意味ない、脱がせたり履かせたりなんなんだ!となる、かといって上らせなかったら大泣きだし、カートに乗せようとしてものけぞってまた大泣きだし、早くこの場を離れたい、夫よ早く買い物を済ませてきてくれ、早く、早く・・・!となっているその時に、財布を持っているのは私で、会計のできない夫はずっと私に電話をかけていたけれど、着信音が鳴らず、子どもと格闘していたわたしは振動には気づかず、という、酷い出来事があって、疲れた。

アウトレット近くにある小矢部の道の駅の直売所は、ぶどうとか、あと呉羽梨が売ってたり、さつまいもとか茄子とかも安くて、色々買えて楽しかった。

道の駅にはドッグランがあって、小さいかわいいポメラニアンと服を着たトイプードルがいて、怖い要素はなかったけれど、娘はたいへん怖がって、「いやいやいやあああああ!」と切実に叫んで逃げた。家では絵本を見ながらワンワン、と楽しげに言っているけれど、実物は怖いらしい。

 

9月17日(火)

今月は祝日のある週が2週もある。子どもがいると、というかサービス業従事者でなくなったので、連休がちゃんと連休で、イベントとかにお客としていけるのはとても楽しいけれど、三連休ってだいぶ長いというか、仕事できる日が週4日になるのって短いなあと思う。カレンダー通りに休むと、仕事をする時間というのは、短い、いや今は熱出したりなんだり、それ以上に休んでいるからか。

 

9月18日(水)

料理をする、ということへのワクワクが、最近まるでない。つくっているだけマシ、偉いなと思うけど、これ作ってみたいなあ、という好奇心をもとに作るということが全然なくて、ただ野菜を多くとか魚もローテーションに入れてとか冷蔵庫の在庫をなくすとか、そういう意識だけでやっている。

この秋を過ぎて夫が週末に家にいるようになればまた少し変わるだろうか。娘と二人だと物理的にわたしが台所に立っていて大丈夫な時間、娘が食べるまで待てる時間がすごく限られているから、ただただ追い立てられて、栄養だけクリアしてれば、というかんじにしかならない。あと数ヶ月したら一緒に作れるようになったりして、そうしたら少し楽しくなるかもしれない。

ただ、集中したり没頭したりすると料理をする気が全くしなくなるけど、子どもがいると強制的に規則正しい生活を求められるから、料理はまあ基本的には作るし、お菓子をご飯にしてしまうとかもやらなくなる、それはいいことだなと思う。

 

9月19日(木)

ここ数日とりかかっている文字起こしの内容が、出来事から思考、その人のものの考え方に移行した途端、かなりスムーズに運ぶようになった。

話しているスピードは同じはずなのに。思考という言葉でできているものは文字にしやすく、出来事の描写という言葉以外のものを言葉にあてはめているものは文字にしにくいんだなあ、と改めて気づく。

文字起こし、外注されることもある作業らしいけれど、そしてすぐに休憩したくなってしまう作業だけど、文字にしながら考えること、気づくことがあるので、基本的には自分でやるほうがいいと思っている。

 

9月20日(金)

おたふく風邪の予防接種へ行った。びっくりするほど全く泣かなかった、無反応だった。ちょうど痛くないところに刺さる、なんてことがあるんだろうか。よく転びまくっているから痛みに強くなったんだろうか。

明日は運動会。「エイエイヨー!(オー!)」と言いまくっている。オー!とか、ぎゃあー!とか、ガオー!とか、叫ぶのが楽しい時期らしい。

あと、ねんねんころりの歌をよく歌っている。寝るときでも何でもないときに突然歌い出すのがおもしろかわいい。

今日は何度も何度もループして、どんどん声が大きくなっていった。短調のお経みたいな旋律で、ねーんねーんこおいーよ、おこおおーいーよー、を繰り返していく、声が大きくなるとともに、こぶしも効いてきて、ね”ーん”ね”ーん”ごゔぉーいーよ”ーになっていった。お経からのトランス状態みたいな感じだった。面白すぎて、録音したかったのだけど、しようと思ったところで終わってしまった。残念。

食べ物はこぼすけど、9割くらい自分で食べられるようになった。こちらが食べさせるのは、最後にかきあつめるのと、あとあまり食が進まないときに補助することくらい。わざと水をこぼしたりはするけど、それを自分で拭いたりもするようになった。成長が著しい。

 

9月21日(土)

運動会!お遊戯だけ、というイメージで行ったのだけど、かけっこもあり(ちゃんと走れた)、親子でちょっとした競技みたいなのもあり、思ったより盛りだくさんだった。待ち時間を待つ、というのがなかなかしんどく、娘はよくだらーんと床に寝てしまってたけど、仕方ないよなあ。そう、運動会って、待ち時間がかったるかったよなあ、ということを思い出した。

他の子どもをみると、お母さんから全然離れられない子もいるし、まわりの空気にまったく気圧されずどかーんと走ったり元気に返事したり踊れる子もいて、うちの子どもはその中間くらい、だろうか。母がいないと不安、というのは全くなさそうだけど、前に前にっていうタイプでもなくて、空気にはわりと呑まれるというか、緊張とか照れはあって。

家で何度もなんども「エイエイヨー!」と叫んでいたり、名前を呼んだら大声で返事できるのが、本番ではちょっと照れちゃう。

それで普通と思うけど、ぜーんぜん照れのないガンガン行く豪胆な子もいて、面白い。

夫がちょうど仕事を抜けて来られたので、帰りは一緒に帰って、そのままミラレ金屋町という夫も仕事で関わっているイベントに行って、昼食を食べて、少し会場を歩いた。娘は学生たちにめちゃくちゃかわいがられて、とにかく「かわいー」「かわいー」「かわいー」言われまくっていた。そう、このイベントには、娘をかわいいと言わるために行くようなものなのだ。

夫も娘を自慢するためにわたしたちを呼んでいる、来てほしがっているきらいがある。そうでしょう、と確認すると、そのとおり、娘を自慢したいから連れてきてほしいのだと言う。

しかしあまりに学生たちが「かわいー」「かわいい〜〜」「かーわーいいいい〜〜〜」と言うので、内心、そんなに言うほどかい?と思ってしまったりした。愛くるしさや整ってる具合でいえばもっとかわいい子もいるよねと、子どものかわいさとはそういうものではないのだけども、なんか意地悪で冷めた自分が現れたりした。

わたしとしては愛くるし過ぎない、知的でたまに睨んでくるようなところも含めてかわいく、二重ではない目鼻立ちは和風のそれとしてかなり整っている、大好き、と思っているのだが。

たぶん、去年はかわいがられてただただ嬉しくホクホクして、むしろ娘の存在にスルーの人にはなんで?と思うほどだったのだけど、それは麻痺していたのであって、今はやっぱり魔法が、ホルモンの魔法が解けてきて、正常の自分を取り戻してきているのだろうと思う。

そして、子どもがいないときはこの感じが苦手だったんだよなあと思い出した。人の子どもに対してそこまでかわいいかわいい熱くなれないというか、なんで子ども=かわいい、それが絶対みたいにみんな盛り上がれるのかなあと、小さい子どもがそこにいたら話題にあげないという選択肢はない窮屈さ、熱くなれない居心地の悪さがあって、今日もやっぱり、なんでそんなに可愛がれるのか、熱くなれるのか、不思議やなあと思ってしまった。

ちょっとちょっかい出してみようかとか、笑いかけてみようかとか、はわかるんよな。「かーわーいー!」がわからんのだ。

うーん、でもやっぱり、いま昼寝から目覚めて、ふとんの上にちょこんと座って、自分にかけられてたタオルケットをじっと見つめてる、小さい子どもは、超かわいいのだけど。なあんでそんなにかわいいのー!!!!!と、わたしはめちゃくちゃ日々熱くなっているけれど。

大きくなった存在からすると、「小さい」ということは、ただそれだけで十分に熱くなれるほど、「かわいい」のかもしれない。

 

9月22日(日)

いっときすごくスムーズになった寝かしつけが、ここ2週間くらいまた難航するようになっていて、まず寝る前に読む本を1冊、眠りに誘う内容のものを決めていたのが、何冊も何冊も要求してきりがなくなって、電気を消すと泣いて嫌がり、それでも消すと暗い中台所に行って水を飲みたがり、あげてもあげても飲みたがり、ダイニングチェあにのぼり、危ないからと抱っこして布団に連れ戻すとまた泣いて、床の上に歩いていってしまい、そこで泣きながら寝る、おいでといっても嫌がる、抱っこも嫌がる、寝室から出て行きたがる、いちゃこらタイムはどこへやら、というふうになっていたので、まず寝る前に本を読むというのは辞めて、起きているときに読むことにして、ダイニングチェアにも上れないようにして、泣きながら廊下に倒れこんで寝るのはもう放っておいて、寝てから移動する、というふうにしていたのが、昨日は久しぶりに、電気を消すのを嫌がらず、そのあとわたしの上にのっかってきて、手を叩いたりして遊ぶという、いちゃこらタイムまで戻ってきた。

さらに、ぶちゅーっぶちゅーっと、わたしへのチュウ攻撃もすごかった。顔が娘のよだれでべっちょべちょになった。よだれは蜜蝋みたいな匂いがした。

これはどういった変化なんだろう。急にしおらしくなって。朝起きたら、オムツ替えもすごくスムーズに、オムツ替えシートの上に寝っ転がるのも全く嫌がらずにできるようになっていた。

もうイヤイヤ期が終わったの?まさか?と思ったけどそんなわけはなくて、日中は、また午前中はミラレに行ったのだけど、最近ペットボトルから飲み物を飲むことができるのだが、ペットボトルの蓋をおちょこのようにして、そこに移して飲むというのを気づいたらやっていて、派手にこぼしたので、一緒にやることにして、5~6回くらい繰り返したらもうわたしは面倒臭くなって、もう終わりにしようよ、と蓋を閉めたら大泣き。そして地面への寝そべり。その後も、なんでだかわらかないが、何か気に入らないことが、思ったのと違うことがあったみたいで、通りに響き渡る鳴き声で大泣き、というのが何回かあった。

なんでもイヤイヤ、すべてイヤイヤ、という状態ではないけど、主張はほんとに強くなってきていて、なかなか面白い。おちょこみたいに移して飲みたいとか面白いから、好きなだけやらせてあげられる環境をその都度パパパっと用意できればいいけど、そうもいかず。家に帰って、さあやってごらん、てのも違いそうだし。でもお風呂にペットボトルと蓋を持ち込むとかはいいかも。

夜のお風呂でやってみたら、予想以上に良かった。中身を空にしたペットボトルを湯船にいれると、ごぼごぼごぼご~~~と水が入っていくかわりに力強く泡が湧いて、それがとても面白かった。