大きくなるお腹、一妻多夫は嫌だ

 

お腹が大きくなってきて、睡眠に細切れ感が出てくる。私の場合、寝れない、というほど酷くはない。どこどこ強く蹴られたりはしないけど、どうも寝ている間の方がお腹の中の子は活発になるらしく、もぞもぞもぞもぞやっているので、もぞもぞしているねえ、という感じでたまに目が覚める。ただほんの一瞬夢の中でそれに気づいて、またすぐ眠りに落ちて、ではあるから、そこに辛さはない。前駆陣痛というやつで、子宮が痛くて目が覚めることもあるけど、毎日ではないしそれも夢うつつという感じなので、辛くない。ただ子宮はいま他の臓器を圧迫しつつ私の前側全体に丸く広がって子どもを包む大きさになっているのに、痛いのが妊娠前と同じ場所なのを不思議に思う。産院で言ったら、下から出てくるからじゃないかな、と言われた。この前駆陣痛、ある人もない人もいて、感じ方、感じる場所もそれぞれらしい。

起きてる間、特に家にいて生まれる前に読みたい本、書きたいことに集中したいと思うときのほうが大変。たぶんお腹が大きいことが直接というより、そのために身体の動きが制限されて無意識に変な姿勢をとったりしているのだろう、そこからくる全身の血行の悪さを身体が全力で受け止めてるみたいな、身体がもう血行の悪さの塊みたいになる。足はパンパンに張って、首筋ガチガチ、肩甲骨ゴリゴリ。

ここ一週間でお腹がまたぐんと大きくなった。先週の健診で出た推定体重が2300g、平均より一週間分くらい少なくて、それでも私が生まれた時の体重は既に超えた。先生も「小さく産んで大きく育てる、これ昔も今も変わらないよ」と言う。でもなんとなく、もう少し食べたほうがいいかも?という気がしてしまったのか、わからないが、あと子が下の方に下がりつつあるから胃の圧迫感が薄れて食べられる量が増えたからか、人に会うので外食の機会があるからか、とにかく少し食べる量が増えて、それがそのままテキメン、お腹を大きくしている気がする。それが子どもの成長なのか、お腹の肉なのかはわからない。

いろんなことがすぐ身体に出る。札幌から藤沢に来て外を散歩できるようになったので、お尻の肉はきゅっと引き締まった。食べれば体重(私の)は増えるし、少し節制するとすぐ落ちる。検査前に甘いものを食べれば尿に糖が出る。

妊婦はお腹の子に栄養を送るための仕組みが一時的な糖尿病を引き起こしたり、二人分の尿を濾過するのに腎臓が酷使されて機能が低下したりしやすいらしく、そうなっていないかどうかチェックのために妊婦健診のたびに尿検査がある。12月に妊娠糖尿病になっていないかのテストを受けて、大丈夫だったのだけど、1月に尿検査に2回連続で引っかかったので、また検査を受けて、結果が出るまで嫌な時間を過ごしつつ、大丈夫だった。これは、思い返してみれば、産婦人科まで歩いていくからその前に自分を甘やかそうと思って大福を食べていたせいだったかもしれない。母に言ったらそういうのはすぐ出るのよ、ばかじゃないの、と言われたけど、そのところってそんなにすぐピンと結びつくものだろうか。

大福を食べても出ない人は出ないのかもしれない、私は出やすいタイプではあるのかもしれない。しかしこういう身体についての所見て、どこまでも仮説の域を出ないと思う。大福のせいなのか、糖が出易い体質であるのか、ほんとうのところはわからないんじゃないかなと。そのなかでPDCAの繰り返しというか。歩いたらお尻の筋肉がついたというのは単純でわかりやすいけど、内臓のことはけっこうわからない。

妊婦。今のところ、ものすごく大変、もう二度とやりたくない、というほどのことは私にはなかったけど、妊婦になるだけで病気になるリスクは普段よりもあがる。医療の助けがなければ、命の危機にさらされる確率はおもいのほか高いらしいし、医療の助けがあっても、可能性はゼロにはならない。妊婦になって、一夫多妻制と一妻多夫制のどちらかしか選べなくてかつ子を成さねばならないなら、前者を選ぶと思った。子を作っても作らなくてもいいなら後者だけど、いやその場合はどっちを選んでも嫉妬とかすごく面倒くさそうで結局どっちも嫌だなと思うけど、そういう制度があるってことは個人の意志よりも共同体の掟が優先される場なのだから、子づくりは望まれるよなというへんな厳密さをもって想像するに、夫を五人持ったとして最低五回、二人は欲しいよねとなったら十回、妊娠して出産するなんて無理無理、と思う。